神経系モビライゼーションの知識で末梢神経を診る【治療編】

導入編、評価編に続き 今回は治療について少しだけ書いていきます。

 

主な治療法

・テンションテストやその派生したやり方、触診を用いる。

・インターフェースに対する治療(腫脹・筋膜など…)

・姿勢矯正および環境設定(仕事上の動作・姿勢など…)

 

手技としては以下の通りです。

・オープナー

・クローザー

・スライダー

・テンショナー

・マッサージ(神経orインターフェースor支配筋などに対して)

 

オープニング・クロージング

オープナー


左腰部に対する静的オープナー

  • 静的オープナー:オープン肢位の保持
    ex)神経根の圧迫軽減を目的とした30秒間の対側側屈保持
    動的オープナー:オープン方向への他動/自動的反復運動

クローザー

  • 静的クローザーは行わない。
    (神経組織の持続圧迫は好ましくないから)
    動的クローザー:クロージング方向への他動/自動的反復運動

スライダー・テンショナー

・スライダー
:神経に緊張や圧迫をあまり加えず滑走を起こす。

遠位・近位、一端・二端を使い分ける。

関節運動を起こすことで神経の滑走を促す治療法。二端スライダーでは、滑走しやすいように近位部や遠位部を緩めるような運動(テンションテストにおける鑑別操作・解放)も合わせて取り入れます。それによって神経全体の滑走する移動量が大きくなり、よりダイナミックな治療となります。
また、運動の順序によって遠位に滑走させるのか、近位に滑走させるのかも変化をつけれます。

 

2端スライダーの例

・テンショナー:
神経組織の緊張を高め、粘弾性や生理学的機構の改善を図る。
弾性限界を超える伸張ではない。=ストレッチではない

神経系が緊張するような運動(テンションテストにおける感作運動)をすることで神経系の弾性の改善を図ります。スライダーと比較すると、負担・強度の大きい治療と言えます。

テンショナーの例

考えられる効果

・運動による循環の改善、筋骨格系の可動性改善

・インターフェース問題の改善(腫脹や癒着による圧迫や滑走不全)

・許容範囲内での反復刺激にによる脱感作

 

オープニング機能異常と過剰なクロージング

オープニング機能異常と過剰なクロージングは異なる

 

オープニング機能異常:オープニングの機能低下。

圧迫が強まっているわけではない。適切な除圧がされないために症状をきたす。

→アプローチはオープニング改善≒mobility

 

過剰なクロージング:クロージングがhyper。

圧迫が強まった状態。

→アプローチはモーターコントロールや隣接関節のmobility改善や当該関節のstability改善

治療はポジティブアプローチが原則

病態生理学的な改善を狙った低レベルの治療(表の上 症状を誘発しない)からはじめて、反応を見ながら、病態力学的な改善を狙った高レベルの治療(こわばり、動きを改善する)へと進めていきます。

 

おわりに

大きく3回に分けて神経系モビライゼーションを中心に記事を書きましたが、かなりかいつまんだ内容になっていますし、勝手な解釈も含まれています。この記事を読んで、興味の湧いた方は、「クリニカルニューロダイナミック」や「バトラー・神経系モビライゼーション」等の書籍を読んだり、神経系モビライゼーションやバトラー・メイトランド系のコースに参加したりすることをオススメします。

 

まとめ

・神経の特性(貸し借り、3つの要素)を踏まえて治療を考える! 考えぬく!
→走行や貸し借りなどは姿勢や環境調整にも活きる!

・治療の組み立てはポジティブアプローチで!
→遠隔部から近位部へ 問題のない方向からある方向へ スライダーからテンショナーへといった感じ

・専門書や本コース講習会で理解を深める

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