仙腸関節って聞いたことあるけどあんまり知らない。
腰の下の方が痛いって言ってるけどこれ仙腸関節の痛みかな?
仙腸関節に対する、知識、評価、治療に自信がない
っていう人が多いと思います。
今回は仙腸関節について最低限、知ってて欲しいこと
臨床でこれ仙腸関節かな?と思った時に、戦える知識をつけていきたいと思います。
目次
知ってて欲しい解剖学
解剖書には色々書いてありますが、今回は知っていて欲しいポイントだけピックアップしていきます。
(プロメテウス解剖学アトラス より引用・改変)
仙腸関節は、骨盤帯の中にあり、腸骨と仙骨でできている関節で
下肢と体幹を繋ぐ関節であり、重要な関節です。
腸骨と仙骨の関節面
L字状の関節面をしており、Lの上(第1仙椎)が短腕、
Lの下が(第2、3)長腕、と呼ばれています。
関節の運動を、イメージする上で、覚えておきたいところです。
(プロメテウス解剖学アトラス より引用・改変)
関節面の形状
仙腸関節の関節面は、多数のくぼみがあり、ぼこぼこしています。
このことにより摩擦が生まれ安定します。
靭帯
多数の靭帯により安定させていますが、ここで覚えて欲しい靭帯は、仙結節靭帯です。
このようについています。
(プロメテウス解剖学アトラス より引用・改変)
仙結節靭帯には、大殿筋が、付着しています。大殿筋の収縮が入ると、緊張が増加するとされています。
また坐骨結節からは、ハムストリングスが、起始しています。
普段は、ハムストリングスの機能が、仙結節靭帯に何らかの影響を与えそうだなと思いながら、治療しています。
知ってて欲しい運動学
仙腸関節は3~5mmしか動きません。
がこのわずかな動きがものすごく大事なのです。
ちなみに変形が進んだおばあちゃんでも、仙腸関節自体の動きは、なくならないそうです。
Nutation(ニューテーション)とCounter nutation(カウンターニューテーション)
必ず知っておくべき運動はこの2つです。
Nutation(ニューテーション)
Nutation(ニューテーション)は、別名うなずき運動とも呼ばれています。
寛骨に対して仙骨が前傾する運動のこと
仙骨に対しては寛骨は後傾します。
(カパンジー機能解剖学Ⅲ脊椎・体幹・頭部 より引用・改変)
Counter nutation(カウンターニューテンション)
Counter nutation(カウンターニューテンション)は別名逆うなずき運動と呼ばれ
寛骨に対して仙骨が後傾する運動のこと。
仙骨に対して寛骨は前傾します。
(カパンジー機能解剖学Ⅲ脊椎・体幹・頭部 より引用・改変)
この2つの運動は仙腸関節を理解する上で重要になってきます。
必ず覚えましょう。
Close-packed position(締まりの肢位)とloose-packed position(緩みの肢位)
Close-packed position(締まりの肢位)とは関節面の接触が多く、
関節周囲の靭帯、関節包などが緊張している肢位のことを言います。
余分な筋力を使わず、関節を機能的に、安定させることができます。
仙腸関節では、ニューテーションがClose-packed positionです。
Loose-packed position(緩みの肢位)とは関節面の接触が少なく、
関節周囲の靭帯、関節包などが緩んでいる肢位のことを言います。
肢位を保持するのに、筋力が必要になります。
仙腸関節ではカウンターニューテーションがLoose-packed positionです。
関節面の接触 | 軟部組織 | 筋力 | ||
Close-packed | 多い | 緊張 | 最小限 | Nutation |
Losse-packed | 少ない | 弛緩 | 最大限 | Counter nutation |
肢位、姿勢と仙骨のアライメント
座位、立位、前後屈時はニューテーション
背臥位はカウンターニューテーション
理想的な姿勢では仙腸関節はすこーしニューテーション
前傾-後弯姿勢ではものすごーくニューテーション
平背肢位ではカウンターニューテーション
(筋:機能とテスト-姿勢と痛み- より引用・改変)
最後に
解剖を覚えることよりも、
関節面の形状、どう動くかを、イメージできることが
臨床では役にたちます。
また、仙腸関節では、肢位別、動作別の仙腸関節のアライメントを
理解することで、今後の評価・治療に繋がるのでしっかり覚えておきましょう。
※仙腸関節評価・治療編はこちら
仙腸関節を診る【評価・治療編】
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