整形外科医や理学療法士・トレーナーは、患者さんに痛みがあった場合、どこが損傷して痛みを引き起こしているのかを知るために、あらゆる方法を使って損傷の部位を特定します。
その方法の1つが、整形外科的テストと呼ばれるもの。
この記事では、肩関節の整形外科的テストを紹介します。
肩関節の整形外科的テストは、大きく6つに分けられます。
- インピンジメントのテスト
- 肩鎖関節のテスト
- 上腕二頭筋のテスト
- 関節唇のテスト
- 回旋筋腱板(ローテーターカフ)のテスト
- 胸郭出口症候群のテスト
この6種類のテストのうち、この記事ではインピンジメント・肩鎖関節・上腕二頭筋・関節唇についてのテストを紹介します。
* 回旋筋腱板(ローテーターカフ)と胸郭出口症候群のテストはこちら!
肩関節の整形外科的テストまとめ【2】目次
インピンジメントのテスト
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Neer Test(ニアテスト)
このテストは、肩峰下インピンジメントの有無を調べるテストです。
(感度:75~90% 特異度:30~50%)
- 患者さんは立位か座位に
- 肩関節を内旋させる
- 肩甲骨を上から圧迫し固定する
- 内旋位を保ったま、肩関節を屈曲させる
Hawkins Test(ホーキンステスト)
このテストは、肩峰下インピンジメントの有無を調べるテストです。
(感度:80~95% 特異度:25~45%)
- 患者さんは立位か座位に
- 肩関節を90°屈曲させ、肘関節も90°屈曲させる
- 肘と手首を持ち、内旋方向に力を加える
肩鎖関節のテスト
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piano key sign(ピアノキーサイン)
このテストは、肩鎖関節脱臼の有無を調べるテストです。
- 鎖骨外側端が、上方に飛び出ているか確認する
- 飛び出ていた場合、下方に圧迫する
Cross-body Adduction test(クロスオーバー内転テスト)
このテストは、肩鎖関節の損傷を調べるテストです。
(感度:75~80% 特異度:75~80%)
- 患者さんは座位に
- 肩甲骨を上から圧迫し固定する
- 患者さんの肘を持ち、90°屈曲させる
- そのまま肩を水平内転させる
上腕二頭筋のテスト
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Speed Test(スピードテスト)
このテストは、上腕二頭筋長頭腱の損傷を調べるテストです。
(感度:90% 特異度:15%)
- 患者さんは座位に
- 肩関節を90°屈曲させ、肘関節伸展位かつ前腕回外位にさせる
- 手首付近を上から地面の方向に押す
- 患者さんはその力に抵抗する
Yergason Test(ヤーガソンテスト)
このテストは、上腕二頭筋長頭腱の損傷を調べるテストです。
(感度:75% 特異度:60%)
- 患者さんは座位に
- 肘関節を90°屈曲させ、回内外中間位にさせる
- 回内方向に抵抗を加える
- 患者さんはその力に抵抗し、回外する
関節唇のテスト
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O’Brian Test(オブライアンテスト)
このテストは、関節唇の損傷を調べるテストです。
(感度:55~65% 特異度:30~75%)
- 患者さんは立位か座位に
- 肩を90°屈曲させ、さらに10°水平内転させる
- そのまま肩を内旋させる(母指が下)
- 手首付近を上から地面の方向に押す
- 患者さんはその力に抵抗する
- 次に肩を外旋させる(掌が上)
- 同じように上から押し、抵抗してもらう
Crank test(クランクテスト)
このテストは、関節唇の損傷を調べるテストです。
(感度:45~85% 特異度:55~100%)
- 患者さんは座位に
- 肩甲骨面で90°外転させ、肘を90°屈曲させる
- 肩甲骨を上から押さえ固定する
- 肘付近を持ち、関節窩方向に圧迫しながら内外旋させる
* これをきっかけに、感度・特異度も理解しよう!
【世界一わかりやすい】理学療法評価における感度・特異度
* 回旋筋腱板(ローテーターカフ)と胸郭出口症候群のテストはこちら!
肩関節の整形外科的テストまとめ【2】
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