視野をひろげる!

理学療法 治療 視野

はじめに

熟練PT

穴が空くほど全身を見るべし!
なんて言われることがありますが、新人さんや学生さんにはピンとこないことも多いようなので、視野を広げることをテーマとして書いていきたいと思います。
他記事にてカウンターウェイトや一次弯曲・二次弯曲、隣接関節を見るなどを書かせていただていますが、今回はそれらの総集編として少し例を挙げて考えていきます。

情報から妄想する

患者ちゃん

腰が痛いです。特に反る時(伸展)に痛いです。立位保持でも痛いです。

といった症例の場合、、、

立位姿勢は図のBのような姿勢

ここで、どこを見て何を考えていくのかの例を簡単に挙げていきます。

ストレステストや動作観察、圧痛所見等でL4/5の椎間関節部の痛みを訴え、前方不安定性L4の前方滑りを認めるとします。

ここまでの情報(クローズな動作で再現がとれる。立位姿勢でもL4/5が伸展位。L4の前方不安定性と圧痛所見。)からL4/5の椎間関節が過剰に伸展していることで疼痛を生じている可能性が高いことが推察されます(ざっくりですが)。

妄想から検証へ

次に考えるべきは、なぜL4/5が過剰に伸展してしまうのか、どうすればストレスを減らせるかといったことです。

腰椎が過剰に伸展しているといった現象は、腰椎をニュートラルで止められるだけの筋力がなく、伸展位で骨性にロックする戦略をとることで起こる可能性があります。また、その他の関節の低下可動性を代償するために過剰な可動性を獲得した可能性もあります。もしくは両方。

そこで、さらに詳細な評価としては、隣接関節である上位腰椎の可動性はどうか、股関節伸展の可動性はどうか。といったことを評価していきます。安定性に関しては下位腰椎レベルの安定性を見ていく必要があります。股関節や上肢の動作時において腰椎の安定化が図れているかなどを見ることは必要でしょう。

さらに、姿勢戦略に関しても腰椎へのストレスにつながっている可能性があります。

実はメインのターゲットは遠隔部かも

基本的には腰椎の安定性と、上下の隣接関節の低可動性につながっていきますが、1次弯曲と2次弯曲のバランスに着目すると、胸椎の伸展可動性の低下(胸椎後弯の増大)、頭部の屈曲可動域制限(頚椎前弯減少)といったことが治療対象となる可能性もあります。
ちなみに、フォワードヘッド姿勢(頸部屈曲と頭部伸展位)が習慣化していることで、後頭下筋群や胸鎖乳突筋、舌骨下筋群などが短縮していたり、前方に落ちそうな頭部を支えるために、僧帽筋上部などの頸部の筋群は常に緊張を強いられ、肩こり症状などを呈したりする症例は多く見かけます。
どこからがスタートなのかを見極めるのは難しいですが、トータルの弯曲を考えた時に、前頭位、胸椎の後弯増強、腰椎の前弯増強などのようなアライメントを認める場合は、一箇所の介入(例えば腰椎)だけでは改善しないことがあります。つまり、腰部症状を呈する症例でも状況によっては、頭部屈曲可動域の改善が必要になる例もありますし、頸部症状を呈する症例でも腰椎の安定化トレーニングや足部への介入が効果を出すこともあります。
腰が痛い人の問題点・治療ターゲットが股関節や胸椎、頭部の可動域や足部の機能になることもあるということです。

まずは、局所の症状に着目しながら、問診や動作姿勢観察を用いて仮説をざっくりと立てていきますが、上記したような隣接関節弯曲のバランス神経支配や走行筋連結などといった視点も考慮していくと少し視野が広がるのではないでしょうか。そこからは詳細な評価や試験的な治療介入などを行って、目標達成に向かって行きます。

まとめ

・過可動性と低可動性は隣り合わせ(隣接関節に着目!)。

・弯曲のバランスを見てみよう!(カウンターとモーメント)

・仮説や関連因子を多く考えられるように広範な知識をつけよう!

 

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