痛みを考える①

痛みとは

実際に何らかの組織損傷が起こった時、あるいは組織損傷が起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に表現されるような、不快な感覚体験および情動体験。

と国際疼痛学会によって定義されています。

そもそも痛みは必要なのか?

痛みの本質的な機能は回避や治療を要する傷害を警告する重要な防御機能です。(主に急性痛)

稀に先天性無痛無感症という痛みを全く感じない人がいますが、痛みを感じないことで組織損傷に気づかず、状態が重症化したり、幼少期に面白がって自傷行為をしてしまったりといったことが生じてしまうようです。このように痛みを感じないことが良いことかというと一概にそういうわけではありません。

また、冒頭で痛みの定義を書きましたが、定義にもあるように「痛み」というものは感覚体験・情動体験であり、その人の経験や感情等により大いに影響を受けるものであり、全ての人に常に痛み感覚を生じさせる純粋な「痛み」刺激といったものは存在しません。

侵害刺激によって誘発される侵害受容器や侵害受容の経路の活動が痛みではなく、痛みはいつも心理的な状態。

国際疼痛学会の定義は痛みを刺激と結びつけることを避けいている。

 

痛みの3つの側面

痛みを様相から3つの側面に分類する考え方があります。

・感覚的側面
「どこに発生したか」「どういう痛みか」「どのくらいの強さの痛みか」
侵害刺激に対する反応
痛みの閾値や主観的強度を調べることで捉えることができる。

・情動的側面
痛みの程度が非常に強く、その場所の同定が困難であったり、痛みの不快感を呈する。単純な痛み感覚だけでなく、心臓機能の亢進、異常発汗などの自律神経機能異常を認める場合もある。
気分、不安や抑うつ、自律神経機能の変化を見るような検査バッテリーで捉える。

・認知的側面
過去の経験や記憶に起因した、刺激に対する認識。身体イメージ障害を伴うこともある。
身体イメージの検査や、二点識別覚などの知覚検査を用いることで認知的側面を捉えることができる。

侵害刺激や炎症所見に対する急性痛は感覚的側面を示すことが多く、慢性の頚部痛や腰部痛では情動的側面・認知的側面を示すことが多い。

慢性疼痛への変遷

(「リハビリテーションのための脳・神経科学入門」より引用)

 

まとめ

・痛みは心理的な状態
・3つの側面がある(感覚的、情動的、認知的)

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