整形外科医や理学療法士・トレーナーは、患者さんに痛みがあった場合、どこが損傷して痛みを引き起こしているのかを知るために、あらゆる方法を使って損傷の部位を特定します。
その方法の1つが、整形外科的テストと呼ばれるもの。
この記事では、仙腸関節の整形外科的テストを紹介します。
仙腸関節の整形外科テストは、大きく2つに分けられます。
これらのテストは仙腸関節の痛みもしくは仙腸関節に機能障害があるか判別するテストです。
てっちー
目次
仙腸関節性疼痛のテスト
仙腸関節前方引き離しテスト
離開テストとも呼ばれてます。
- 患者さんは背臥位に
- 上前腸骨棘に母指球を内側から当てる
- 後外側方向へ引き離すように力を入れる(ゆっくりと持続的に)
仙腸関節前方の靭帯を伸ばすイメージ
仙腸関節圧迫テスト
- 患者さんは側臥位に
- 自分は患者さんのお腹側に立つ
- 上前腸骨棘と上後腸骨棘を結んだ線に前腕を置く
- ベットに対して垂直に圧を加える
仙腸関節後方の靭帯を伸ばすイメージ
仙骨剪断テスト
仙骨スラストテストとも呼ばれています。
- 患者さんは腹臥位に
- 仙骨をベット側に真上から圧迫する
ニューテーション・カウンターニューテーション方向に圧迫し
それぞれの症状の出方で考えるのもよし。
大腿剪断テスト
大腿スラストテストとも呼ばれます。
- 患者さんは背臥位に
- 検査する側と反対側に立つ
- 検査する側の股関節を屈曲・内転させる
- 検査する側と反対側の手で仙骨に手を当て固定する
- 検査する側と同側の手と胸で膝を押す
仙骨を固定して大腿を使って仙腸関節をずらすイメージです。
Gaenslen Test ゲンスレンテスト(股関節屈曲側)
- 患者さんは背臥位に
- 検査したい側の膝を抱えてもらう
- 反対側の足をベッドから下ろす
- ベットから下ろした足を下に押す
Gaenslen Test(股関節伸展側)
- 患者さんは背臥位に
- 検査したい側の膝を抱えてもらう
- 反対側の足をベッドから下ろす
- ベットから下ろした足を下に押す
膝を抱えた側(股関節屈曲)は腸骨は後方回旋
ベットから足を下ろした側(股関節伸展)は腸骨が前方回旋します。
紹介した6つのテストの内3つ以上が陽性か
1〜4のテストの内2つが陽性なら
感度94%特異度78%で仙腸関節疼痛と診断できる。
6つのテストが全て陰性の場合、仙腸関節の問題を除外できる。
参考:理学療法ガイドライン第1版,16.徒手的理学療法診療ガイドライン,第3章理学療法評価(指標)の推奨グレード,2腰部・仙腸関節に対する徒手テスト,1163
仙腸関節機能障害のテスト
立位前屈テスト
- 患者さんは立位に
- 検査者は上後腸骨棘を触る
- 患者さんに前屈してもらう
座位での上後腸骨棘位置の触診
- 患者さんは座位
- 検査者は上後腸骨棘を触る
背臥位-長座位テスト
- 患者さんは背臥位に
- 内果の位置(脚長差)を確認する
- 患者さんを長座位に
- 内果の位置(脚長差)を確認する
腹臥位膝屈曲テスト
- 患者さんは腹臥位に
- 踵の位置で下肢長を確認する
- 膝関節を90°屈曲にして
- 下肢長を確認する
紹介した4つのテストの内3つ以上が陽性の場合
仙腸関節機能障害と考えられる。感度82%特異度88%
参考:理学療法ガイドライン第1版,16.徒手的理学療法診療ガイドライン,第3章理学療法評価(指標)の推奨グレード,2腰部・仙腸関節に対する徒手テスト,1163
*感度、特異度についてはこちら
【世界一わかりやすい】理学療法評価における感度・特異度
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