整形外科医や理学療法士・トレーナーは、患者さんに痛みがあった場合、どこが損傷して痛みを引き起こしているのかを知るために、あらゆる方法を使って損傷の部位を特定します。
その方法の1つが、整形外科的テストと呼ばれるもの。
この記事では、肩関節の整形外科的テストを紹介します。
肩関節の整形外科的テストは、大きく6つに分けられます。
- インピンジメントのテスト
- 肩鎖関節のテスト
- 上腕二頭筋のテスト
- 関節唇のテスト
- 回旋筋腱板(ローテーターカフ)のテスト
- 胸郭出口症候群のテスト
この6種類のテストのうち、この記事では回旋筋腱板(ローテーターカフ)と胸郭出口症候群についてのテストを紹介します。
* 残りの4種類のテストはこちら!
肩関節の整形外科的テストまとめ【1】回旋筋腱板(ローテーターカフ)のテスト
fukataro
Drop Arm Test(ドロップアームテスト)
(感度:95% 特異度:10%)
このテストは、棘上筋の損傷を調べるテストです。
- 患者さんは立位か座位に
- 上肢を外旋させながら(手のひらを上に向けながら)、肩関節を90°外転させる
- その状態で、患者さんの腕を離す
- 患者さんは、肘を伸ばしたままゆっくり腕を降ろしていく
または、降ろしている途中で痛みが出ると陽性です。
Full-can Test(フルカンテスト)
(感度:65~85% 特異度:55~75%)
このテストは、棘上筋の損傷を調べるテストです。
- 患者さんは立位か座位に
- 肩関節を肩甲骨面上で45°外転させる(母指が上)
- 手首付近を上から地面の方向に押す
- 患者さんはその力に抵抗する
Empty-can Test(エンプティカンテスト)
(感度:60~90% 特異度:50~70%)
このテストは、棘下筋の損傷を調べるテストです。
- 患者さんは立位か座位に
- 肩関節を肩甲骨面上で45°外転させ、さらに内旋させる(母指が下)
- 手首付近を上から地面の方向に押す
- 患者さんはその力に抵抗する
おらふ
おらふ
Hornblower Test(ホーンブローワーテスト)
(感度:100% 特異度:90%)
このテストは、小円筋の損傷を調べるテストです。
- 患者さんは立位か座位に
- 肩関節を肩甲骨面上で90°外転させる
- 肘を屈曲させる
- 肩を内旋させる方向へ力を加える
- 患者さんはその力に抵抗する
小円筋が断裂していたり、麻痺していたりする場合は、抵抗をかけなくても明らかな陽性所見がみられます。
肘が挙がっている方が陽性です。
Belly Press Test(ベリープレステスト)
このテストは、肩甲下筋の損傷を調べるテストです。
- 患者さんは立位か座位に
- 患者さんは肘を曲げ、腹部に手をあてる
- 検者は、手掌とお腹の間に手を入れる
- お腹から手掌を離す方向に力を加える
- 患者さんはその力に抵抗する
肘の位置や、手関節の角度に注意して行いましょう。
Lift Off Test(リフトオフテスト)
(感度:95% 特異度:95%)
このテストは、肩甲下筋の損傷を調べるテストです。
- 患者さんは立位に
- 患者さんは肘を曲げ、手背を腰にあてる
- 手背を腰から離してもらう
Bear Hug Test(ベアハグテスト)
このテストは、肩甲下筋の損傷を調べるテストです。
- 患者さんは立位か座位に
- 手を、反対の肩の上に置く
- 検者は、手掌と肩の間に手を入れる
- 肩から手掌を離す方向に力を加える
- 患者さんはその力に抵抗する
胸郭出口症候群のテスト
fukataro
Allen Test(アレン テスト)
このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に斜角筋症候群を調べるテストです。
- 患者さんは座位に
- 上肢を90°外転させ、肘を90°屈曲させる
- この時の撓骨動脈の拍動を触診
- そのまま頸を反対方向に回旋させる
Adoson’s Test(アドソン テスト)
このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に斜角筋症候群・頸肋症候群を調べるテストです。
- 患者さんは座位に
- 手背を膝の上に置き、撓骨動脈の拍動を触診
- 大きく息を吸ったまま息を止めてもらう
- 頸を伸展したまま同側に回旋させる
Morley Test(モーレーテスト)
このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に斜角筋症候群・頸肋症候群を調べるテストです。
- 患者さんは座位に
- 鎖骨上窩で腕神経叢を指で圧迫する
Eden Test(エデンテスト)
このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に肋鎖症候群を調べるテストです。
- 患者さんは座位に
- 肩関節を伸展させる
- 撓骨動脈の拍動を触診
- そのまま後下方に牽引する
Wright’s Test(過外転テスト)
このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に小胸筋症候群を調べるテストです。
- 患者さんは座位に
- 撓骨動脈の拍動を触診
- そのまま上肢を外転させていく
Roos Test(三分間挙上負荷テスト)
このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に小胸筋症候群を調べるテストです。
- 患者さんは座位に
- 両肩90°外転位で肘を90°屈曲させる
- その肢位を維持したまま、手を握ったり開いたりを3分間繰り返してもらう
* これをきっかけに、感度・特異度も理解しよう!
【世界一わかりやすい】理学療法評価における感度・特異度
* 肩関節に関する、残りのテストはこちら!
肩関節の整形外科的テストまとめ【1】
[…] ベリープレステストとは https://pt-taisaku.net/test-shoulder-2/ […]
[…] ベリープレステストとは https://pt-taisaku.net/test-shoulder-2/ […]