肩関節の整形外科的テストまとめ【2】

肩関節 整形外科的テスト スペシャルテスト

YouTube始めました
『肩関節』『野球』をキーワードにわかりやすく、簡単に説明してます!!
参考 YouTubeチャンネル肩関節の基礎

てっちー

学生さん、選手、保護者さん向けに作ってるよ!

整形外科医や理学療法士・トレーナーは、患者さんに痛みがあった場合、どこが損傷して痛みを引き起こしているのかを知るために、あらゆる方法を使って損傷の部位を特定します。

その方法の1つが、整形外科的テストと呼ばれるもの。

この記事では、肩関節の整形外科的テストを紹介します。

肩関節の整形外科的テストは、大きく6つに分けられます。

  • インピンジメントのテスト
  • 肩鎖関節のテスト
  • 上腕二頭筋のテスト
  • 関節唇のテスト
  • 回旋筋腱板(ローテーターカフ)のテスト
  • 胸郭出口症候群のテスト

この6種類のテストのうち、この記事では回旋筋腱板(ローテーターカフ)と胸郭出口症候群についてのテストを紹介します。

 

* 残りの4種類のテストはこちら!

肩関節 整形外科的テスト スペシャルテスト肩関節の整形外科的テストまとめ【1】

回旋筋腱板(ローテーターカフ)のテスト

fukataro

回旋筋腱板は、棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋の4つ!

Drop Arm Test(ドロップアームテスト)

(感度:95% 特異度:10%)

このテストは、棘上筋の損傷を調べるテストです。

  1. 患者さんは立位か座位に
  2. 上肢を外旋させながら(手のひらを上に向けながら)、肩関節を90°外転させる
  3. その状態で、患者さんの腕を離す
  4. 患者さんは、肘を伸ばしたままゆっくり腕を降ろしていく

判定基準
突然力が入らなくなり、ゆっくりと腕が降ろせなくなる。

または、降ろしている途中で痛みが出ると陽性です。

Full-can Test(フルカンテスト)

(感度:65~85% 特異度:55~75%)

このテストは、棘上筋の損傷を調べるテストです。

  1. 患者さんは立位か座位に
  2. 肩関節を肩甲骨面上で45°外転させる(母指が上)
  3. 手首付近を上から地面の方向に押す
  4. 患者さんはその力に抵抗する

判定基準
力に抵抗できない、または、痛みが出たら陽性です。

Empty-can Test(エンプティカンテスト)

(感度:60~90% 特異度:50~70%)

このテストは、棘下筋の損傷を調べるテストです。

  1. 患者さんは立位か座位に
  2. 肩関節を肩甲骨面上で45°外転させ、さらに内旋させる(母指が下)
  3. 手首付近を上から地面の方向に押す
  4. 患者さんはその力に抵抗する

判定基準
力に抵抗できない、または、痛みが出たら陽性です。
Full-can、Empty-canの名前の由来

おらふ

Full-can満タンの缶だから…

おらふ

Empty-can空の缶だから…

Hornblower Test(ホーンブローワーテスト)

(感度:100% 特異度:90%)

このテストは、小円筋の損傷を調べるテストです。

  1. 患者さんは立位か座位に
  2. 肩関節を肩甲骨面上で90°外転させる
  3. 肘を屈曲させる
  4. 肩を内旋させる方向へ力を加える
  5. 患者さんはその力に抵抗する

判定基準
極端な筋力低下がみられる、または、痛みが出たら陽性です。
顕著な例

小円筋が断裂していたり、麻痺していたりする場合は、抵抗をかけなくても明らかな陽性所見がみられます。

肘が挙がっている方が陽性です。

Belly Press Test(ベリープレステスト)

このテストは、肩甲下筋の損傷を調べるテストです。

  1. 患者さんは立位か座位に
  2. 患者さんは肘を曲げ、腹部に手をあてる
  3. 検者は、手掌とお腹の間に手を入れる
  4. お腹から手掌を離す方向に力を加える
  5. 患者さんはその力に抵抗する

判定基準
力に抵抗できない、または、痛みが出たら陽性です。
代償動作に注意
Belly Press Test は、検査中に代償動作が出やすいテストです。

肘の位置や、手関節の角度に注意して行いましょう。

Lift Off Test(リフトオフテスト)

(感度:95% 特異度:95%)

このテストは、肩甲下筋の損傷を調べるテストです。

  1. 患者さんは立位に
  2. 患者さんは肘を曲げ、手背を腰にあてる
  3. 手背を腰から離してもらう

判定基準
手背を腰から離せない場合、陽性です。

Bear Hug Test(ベアハグテスト)

このテストは、肩甲下筋の損傷を調べるテストです。

  1. 患者さんは立位か座位に
  2. 手を、反対の肩の上に置く
  3. 検者は、手掌と肩の間に手を入れる
  4. 肩から手掌を離す方向に力を加える
  5. 患者さんはその力に抵抗する

判定基準
力に抵抗できない、または、痛みが出たら陽性です。

 

胸郭出口症候群のテスト

fukataro

腕から手にかけての痺れや、握力の低下がある場合は胸郭出口症候群を疑おう!

Allen Test(アレン テスト)

このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に斜角筋症候群を調べるテストです。

  1. 患者さんは座位に
  2. 上肢を90°外転させ、肘を90°屈曲させる
  3. この時の撓骨動脈の拍動を触診
  4. そのまま頸を反対方向に回旋させる

判定基準
頸を回旋させたとき、撓骨動脈の脈拍減弱、または消失した場合、陽性です。

Adoson’s Test(アドソン テスト)

このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に斜角筋症候群・頸肋症候群を調べるテストです。

  1. 患者さんは座位に
  2. 手背を膝の上に置き、撓骨動脈の拍動を触診
  3. 大きく息を吸ったまま息を止めてもらう
  4. 頸を伸展したまま同側に回旋させる

判定基準
頸を回旋させたとき、撓骨動脈の脈拍減弱、または消失した場合、陽性です。

Morley Test(モーレーテスト)

このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に斜角筋症候群・頸肋症候群を調べるテストです。

  1. 患者さんは座位に
  2. 鎖骨上窩で腕神経叢を指で圧迫する

判定基準
圧痛、または前胸部に放散痛がでた場合、陽性です。

Eden Test(エデンテスト)

このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に肋鎖症候群を調べるテストです。

  1. 患者さんは座位に
  2. 肩関節を伸展させる
  3. 撓骨動脈の拍動を触診
  4. そのまま後下方に牽引する

判定基準
撓骨動脈の脈拍が消失した場合、陽性です。

Wright’s Test(過外転テスト)

このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に小胸筋症候群を調べるテストです。

  1. 患者さんは座位に
  2. 撓骨動脈の拍動を触診
  3. そのまま上肢を外転させていく

判定基準
外転位で撓骨動脈の脈拍減弱、または消失した場合、陽性です。

Roos Test(三分間挙上負荷テスト)

このテストは、胸郭出口症候群の中でも特に小胸筋症候群を調べるテストです。

  1. 患者さんは座位に
  2. 両肩90°外転位で肘を90°屈曲させる
  3. その肢位を維持したまま、手を握ったり開いたりを3分間繰り返してもらう

判定基準
早期に疼痛や疲労が出現し、3分間続けられない場合、陽性です。

 

* これをきっかけに、感度・特異度も理解しよう!

理学療法士 感度と特異度【世界一わかりやすい】理学療法評価における感度・特異度

 

* 肩関節に関する、残りのテストはこちら!

肩関節 整形外科的テスト スペシャルテスト肩関節の整形外科的テストまとめ【1】

 

2 COMMENTS

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください