整形外科医や理学療法士・トレーナーは、患者さんに痛みがあった場合、どこが損傷して痛みを引き起こしているのかを知るために、あらゆる方法を使って損傷の部位を特定します。
その方法の1つが、整形外科的テストと呼ばれるもの。
この記事では、胸部の整形外科的テストを紹介します。
目次
Soto Hail test(ソート・ホイルテスト)
このテストは、胸椎周辺の組織損傷を調べるテストです。
- 患者さんは背臥位に
- 頸部を最大前屈する
- さらに胸椎を前屈させる
判定基準
胸椎に局所痛が出現した場合、陽性です。 MEMO
胸椎を前屈させたとき、患者さんの膝が立ったときは髄膜刺激症状を疑います。
Stermal Compresson test(胸骨圧迫テスト)
このテストは、肋骨骨折を調べるテストです。
- 患者さんは背臥位に
- 心臓マッサージと同じように胸骨上部に両手をのせる
- そのまま下方に圧迫する
判定基準
局所痛または肋骨側面に痛みが出現した場合、陽性です。
Beevor’s sign(ビーバー徴候)
このテストは、胸椎神経根症状を調べるテストです。
- 患者さんは膝屈曲での背臥位に
- 両手を頭の後ろで組んでもらう
- そのまま状態を起こし、腹筋運動をするよう指示する
判定基準
臍の位置が移動した場合、陽性です。 MEMO
臍が上方に移動した場合は、Th10~12の神経根症状を疑う。
臍が下方に移動した場合は、Th7~10の神経根症状を疑う。
Schepelman’s sign(シュペルマン徴候)
このテストは、肋骨周辺の炎症を調べるテストです。
- 患者さんは座位に
- 上体を側屈してもらう
判定基準
側屈した時に痛みが出現した場合、陽性です。 MEMO
上体を曲げたほうに痛みが出た場合、肋間神経炎を疑う。
反対側に痛みが出た場合は、胸膜や肋間筋の炎症を疑う。
Rib Hump sign(リブハンプ徴候)
このテストは、脊柱側弯症・脊柱後弯症を調べるテストです。
- 患者さんは立位にし、検者は後方に位置する
- 立位の状態で側弯や後弯の有無を視診で確認
- 患者さんに前屈してもらい、再び視診
判定基準
①両肩の高さに差があるか
②肩甲骨の飛び出し方に差があるか
③ウエストラインに非対称性がみられるか
④前屈したときに肋骨や腰部が隆起するか
MEMO
立位で側弯がみられ、前屈時に側湾が減少する場合は、軟部組織による機能的側弯です。
例)悪姿勢・股関節拘縮・脚長差など
Chest Expansion test(胸郭拡張テスト)
このテストは、肋椎関節や呼吸器の異常を調べるテストです。
- 患者さんは座位か立位に
- 乳頭の高さにメジャーを巻きつける
- 最大吸気時・最大呼気時でそれぞれ計測する
判定基準
成人男性で5.0cm以下、成人女性で3.5cm以下の拡張差の場合、陽性です。
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