レバーアームから治療を考える

レバーアームって何??

レバーアームとは

梃子(てこ)における、支点から力の作用点に下ろした垂線の距離。

                                   ~コトバンクより引用~

別名モーメントアームとも言います。

まずレバーアームを知るためにはモーメントを理解しなければわかりません。

ここでは簡単にモーメントを説明します。

モーメント、レバーアームを簡単に

モーメントとは回転する力です。

この画像でも、真ん中の丸太を軸に

女の子側は反時計回り、男の子側には時計回り方向

モーメントが、作用しています。

どちらも足をついていないということは

モーメントは同じ(=釣り合っている)ということが感覚的にわかります。

ではこの画像の男の子が、少し丸太の方に近づいたら

どうなるでしょうか??

女の子の足が地面について、男の子が上に上がりますよね。

レバーアームとは丸太と男の子との距離のことなんです。

次は図を使って、考えてみます。

モーメントの計算方法

モーメントの計算の前に、レバーアームとは

 

着力点

作用線

作用線に回転中心から垂線←この長さがレバーアームです

 

先ほどの画像に置き換えてみます。

男の子のおしりが着力点

男の子がまっすぐ座ってるので作用線は垂直

回転中心である丸太からおしりまでがレバーアーム

ということになります。

モーメントの求め方は

モーメント=力(体重)×レバーアームです。

なので男のが丸太の方へ近づくと

丸太とおしりの距離が近くなります。

よって

レバーアームが短くなり、その結果、モーメントが小さくなって

男の子は上に上がって行くのです。

体重は同じ

では下のような患者さんではどうでしょうか??

モーメント=力(体重)×レバーアームでした。

同一の患者さんであるならば、体重は一緒なのでレバーアームだけを考えることで

モーメントがわかるのです。

左側の図に比べ右側の図がレバーアームが長いことになります。

患者さんを見るうえではレバーアームに注目しましょう

レバーアームが長くなると

代償動作はレバーアームを調整している

中殿筋弱化(他の要因も考えられますが…)の代償動作

デュシャンヌもレバーアームを調整しているんです。

身体の質量中心(重心)を股関節に近づけることで

レバーアーム短くして中殿筋の負担を減らしています。

レバーアームの長さが原因で痛みがでてるかも。。。

患者さん

階段降りる時にお皿の周りが痛い

こんな患者さんいませんか?

原因はレバーアームが長くなり

大腿四頭筋が過度に働いて、

膝蓋大腿関節への圧迫ストレスによる痛みかもしれません。

          

このように身体質量中心(重心)が通る線が膝関節より離れることにより

レバーアームが増大して大腿四頭筋が過度に働きます。

その結果、大腿四頭筋の下にある、膝蓋骨を圧迫し

膝蓋大腿関節に、ストレスがかかり痛みが出ることがあります。

治療にいかす

レバーアーム長い?短い?

レバーアームを考え治療を行うと、他関節の影響を考えやすくなります。

さきほど例に出した、膝蓋大腿関節で痛みが出ている患者さんで考えてみましょう。

30kgあるパッセンジャー(上肢、体幹)で生み出される

ロコモーター(下肢)への外部モーメントが、全て膝関節に作用しており

それによって、大腿四頭筋が過度に働いています。

どう対処する?

さっきの例では身体の質量中心(重心)が股関節、足関節上を通っており

股関節、足関節にモーメントを生み出せていませんでした。

復習:モーメント=力×レバーアーム←レバーアームが0だから

なので股関節を屈曲させて身体の質量中心を変えます。

すると、身体の質量中心が前方に変化します。

回転中心(関節)から距離ができたので、必然的にレバーアームがつくられ

外部モーメントが生み出されます。

そうなることで膝関節のレバーアームが短くなって

今まで大腿四頭筋のみで支えていたパッセンジャーの重さも

殿筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋で分散して支えることができます。

そうすることで、大腿四頭筋が過度に収縮しなくてよくなって、

大腿膝蓋関節の圧迫ストレスが減少します。

このように、1つの関節にかかりすぎているストレスは

他関節のレバーアームを調整してやることでストレスを減らし、痛みを取ることができる

かもしれません。

治療の原則は…

他関節のレバーアームを変えるためには、

どうすればレバーアームが調整できるか考え、

それに対し、可動域、筋力を改善していくことが必要です。

場合によっては、運動学習も必要になることもあります。

ただ

大原則として、可動域→筋力、この順番で改善させていきましょう。

いくら筋力があっても、それを使える可動域がないと意味がありません。

おわりに

  • 回転中心(関節)から重心線の距離をみる
  • レバーアームを操るには重心線の通る位置を変える
  • そのためには可動域→筋力を改善する

モーメントはこっちに詳しく書いてます。

こっちも読んでねーー

【世界一わかりやすい】理学療法士が考えるべきモーメント

 

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